1980年初頭のナポリ。
ラジオ朗読のホストを務めるアルドと妻ヴァンダ、アンナとサンドロの二人の子供たちの平穏な暮らしは、
夫の浮気で終わりを告げた。
家族の元を去り浮気相手と暮らすアルドは、
定期的に子供たちに会いに来るがヴァンダはすべてが気にいらない。
次第にヴァンダの精神状態は不安定になり、その行動もエスカレートしていく。
衝突ばかりの両親の狭間でアンナとサンドロは母に寄り添うのだった。
混沌とした数年を経て、家族は些細なきっかけでふたたび共に暮らし始めるが……。
月日は流れ、冷え切った関係のまま老齢を迎えた夫婦は夏のバカンスへ。
1週間後に自宅へ戻ると家はひどく荒らされ、飼い猫は失踪していた――。
愛も自由も、
こんなにおそろしい
しっぺ返しとなって戻ってくる。
夫婦の、家族の、いや、
人間というものの底知れなさを思い知る。
角田光代(作家)
二人三脚で結わえたひもは、
足並みが揃わなければ、
ふたりを縛るものになって、
どちらも転んでしまう。
徒競走と違って、
人生は倒れても続く。
ふたりだけでも大変なのに、
家族四人もいれば、
ますますもつれてしまう。
ほどけるのか? 結び直せるのか?
それとも、ふっ切れる?
固唾を呑んで、
不思議と後味さっぱりな映画です。
野村雅夫(ラジオDJ/翻訳家)
家族とは愛し合って、
つながり合って、
分かり合えるものだという
幻想が私たちを苦しめている。
この映画はそんな幻想から
私たちを解放してくれる。
浜田敬子(ジャーナリスト)
この映画の特徴の一つは、
過去と現在の話が切り替わること。
人のその時々の感情が
花火のように
あちらこちらで爆発します。
「思い出がよみがえる」、
「夫婦関係のどこかに引っかかる」、
「親になってからの子供に対する気持ち」
ちょっとびくびくしながらも、
この3点だけで
『靴ひものロンド』を観るべし!
ビオレッティ・アレッサンドロ
(イラストレーター)
そんな秘密など知りたくなかった。
手離せないのは
家族という虚像か 裏切りへの渇望か。
抱えきれない想いは
何度結んでも絡まりもつれていく……。
堀井美香(フリーアナウンサー)